84歳の映画狂が薦める黄金時代のオモシロ映画塾

映画は色々な世界を擬似体験させてくれるエンターテイメントだ!

第25回「ベン.ハー」(1959)

こんにちは☺️

祇園祭の鉾の組み立ても始まり、京都も久しぶりに活気が戻ってるようです!
そもそも厄除けのお祭りでもありますので、コロナも含めて色んな停滞感も吹き飛ばしてほしいですね。

それでは本日も映画塾始めていきましょう❗

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あまり知られていませんが、この映画には原作があり、しかもその本が出版されたのは19世紀の末で、130年近く前のことです。
作者は南北戦争の英雄、リー.ウォーレス将軍という軍人でした。
印税として百ドル位はあるだろうとの将軍の予想は大きく裏切られ、アメリカのみならず、世界で読み継がれる大ベストセラーとなって巨大な富をもたらすことになりました。

宗教色はありますが、本質的にはドラマティックな復讐劇であり、ローマ艦隊と海賊船隊との海戦や大競技場での戦車競争などのスペクタクルな見せ場があります。

ハリウッドがこの魅力的な素材を見逃すはずはなく、1926年にサイレント映画としては記録的な四百万ドルという費用をかけて製作されました。

私が38歳の時、アメリカ建国二百年記念として、この映画が東京と京都で上映され、劇場の大スクリーンで観ることが出来ましたが、当時は今では考えられないような無茶なことをしていますね。

海戦シーンはイタリアで実際に建造した軍船を使って海で撮影していますが、燃え広がる炎と煙に追われ、船上から大勢のエキストラが慌てふためいて、海に飛び込んでいます。
戦車競争はサイレント映画とは思えないような大迫力ですが、今では問題になりそうな人馬の大クラッシュ.シーンもそのまま使っています。
安全が軽視されていた乱暴な時代だったのですね。
それから33年経って製作されたカラーで大画面の「ベン.ハー」では、流石にそんなことはありません。
海戦はミニチュアを使って撮影されましたが、アカデミー特殊効果賞を取ったほどですし、戦車競争シーンの完成度は素晴らしく、前作とは比較になりません。
もっとも今回もクラッシュはありましたが、人馬ではなく、戦車が突っ込んで使い物にならなくなった超高価な大型カメラ一台だけでした。
映画の代表的なアクション.シーンとしてニューヨーク近代美術館に収納されています。
宗教的史観もそれほど押し付けがましくなく、名匠ウィリアム.ワイラーの代表作として楽しんで下さい。

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○生徒からのコメント

壮大な映画ですよね。船を鎖で繋がれた人達が合図に合わせて一斉にこぐシーンや戦車競争シーンは必ずや一度は観ておくべきシーンだと思います。

しかし、石が建造物から軍隊の列に落ちた事で家族の人生が一瞬で変わるやるせなさも感じます。

私もヨーロッパで住んだこともあり、インドや中国などにも仕事でよく行っていましたが、中国の万里の長城やインドの世界遺産遺跡、イタリアのコロッセオなどを見ても石で組み立てられた建造物は長い間残りますが、当然朽ちてきますので、石が崩れるなんて事は当然起こり得るでしょうね。

復讐劇ですし、宗教色はありますけど、とにかく見応えがあります!