84歳の映画狂が薦める黄金時代のオモシロ映画塾

映画は色々な世界を擬似体験させてくれるエンターテイメントだ!

第五回 「仔鹿物語」(1946年)

この映画塾の生徒はとても動物に優しい男です。
ペットの犬の話をする時は、本当に嬉しそうに相好を崩します。

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それもあってこの映画塾を思い付いた時、真っ先に頭をよぎったのがこの作品でした。

私が記憶している限りでは、戦後、初めて映画館にかかったカラーのアメリカ映画です。
映画といえば白黒の画面しか知らなかった眼に映った鮮やかな夕陽の色彩は、まるで魔法のような輝きを持っていました。


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まだ開発がそんなに進んでいないフロリダの山野に住み着いた夫婦と一人息子の日常に飛び込んできた一匹の仔鹿をめぐる物語です。

寡黙な母親のジェーン.ワイマン、人のいい父親にグレゴリー.ペック、いずれも適役ですが、金髪の子役、クロード.ジャーマン.ジュニアの可愛らしさは抜群で、人気を独り占めしていましたね。

美しい自然には恐ろしい危険も潜んでいて、父親は毒蛇に噛まれて生死の境をさまよいます。
息子と仔鹿は兄弟のように戯れ、成長していきますが、やがて仔鹿は一家の生活の糧である作物を食い荒らすようになっていきます。

少年に訪れた初めての苦しい試練、葛藤の末、彼はついに恐ろしい決断を下しますが…
ユーモラスな描写もあり、美しい自然とともに心に残っている映画です。


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◎生徒からのコメント

ずっと厳しい表情の母親がラストに見せる笑顔にハッとさせられました。

父親の飼い犬と野生の熊が争うシーンは実際どのように撮ったのだろうと思うくらいリアルです。

仔鹿が家族の生活の糧の畑の作物を食い荒らすシーンでは、きっとこの後仔鹿にとって最悪の状況が想像出来ただけに、何でもっと仔鹿が柵から入らないようにちゃんと繋ぎ止めておかないの?って思わず感情的になってしまいました。

結局仔鹿は亡くなり、息子はショックのあまり家出をし、命からがら家に戻ってきますが、その時父親グレゴリー.ペックが息子に話した言葉が実に胸に響きました。(生きることは厳しい。だけど勇気をもって決断していかなければいけない)
仔鹿の成長とともに、実は息子が成長していくのを物語とした映画ですね。

仔鹿が死ぬのはやはり辛いのですが、何度も人生の岐路には見たい映画です。


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(84歳の映画狂が薦める黄金時代のオモシロ映画塾)
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